12/01/2008

カーフスキンの一時結論

カーフスキンヘッドを、色々と研究〜実験〜検証してみたが、どうも定説が全くアテにならないってことはわかった。
まず、バスドラについて。
カーフスキンサウンド全体の定説として「太く丸い」というのがあるが、これは正確ではない。カーフスキンへッドの音は、確かに太さはあるが、独特な倍音とゴンッ!というアタックを伴うため、さほど太く丸い感じはしない。太く丸いだけなら、ピンストライプヘッドのほうが優秀だと思う。よって、バスドラに使うなら、ある程度の口径(最低でも24以上)が欲しくなる。ベストは24とか26くらいじゃないだろうか。28もいいかも知れない。これくらいのサイズのドラムにカーフスキンを張ると良いと思う。その理由は、カーフスキンは、ある程度張らないと良さが出ないので、バスドラならばハイピッチにチューニングしてもローが稼げる口径が必要ってことだ。実際、18”のバスドラにカーフスキンを張ってあるが(深さが7”しかないから一般的な検証ではないが)、これはレガシーピンストのほうが低域が出ていた気がする。しかし、悪いわけではなく、個性が強いので、好みが別れるかと思う。コンボジャズやボサノヴァには、小さな音のアタックが明確に出るので向いていると思う。そしてエレベとの相性は、あまり良くないと思う。

そして良く言われるのが「胴鳴り」これは、確かに凄いものがある。不思議だ。特に両面にカーフスキンを張った時のレゾナンスは凄いものがある。小さな部屋なら、部屋そのものが床から天井までゴーーーンと鳴り響くような響き方をする。これはプラスチックヘッドには全くないカーフスキン独自の特長だと思う。プラヘッドは、その場だけ鳴る感じ。ただし、カーフスキンは、野外ではダメだ。何か、鳴り響くような構造物の中でこそ発揮される。野外では、プラスチックヘッドのほうが、抜けや通りがいいんじゃないだろうか。ただし、これらは演奏者位置での感想なので、遠鳴りすると言われるカーフスキンの特性が、どう作用するかは未確認。

そしてスネア。
スネアは、もう好みの問題だな。これは。
まず言えることは、ロールなどは相当しっかりしたテクニックがないとダメ。話にならない。(笑)
とにかく、ショット、タッチが相当磨かれていないと、思うように演奏できない。それと倍音は少ない。音色変化については、意外だが、プラスチックヘッドのほうが多彩な音が出る。この辺の理由でスネアについてはプラスチックヘッドに戻している。とは言え、このプラヘッドだって、相当な歴史と種類が存在するので、その中から、フィットするものを見つけるには、かなりの知識と経験が必要だと思う。これらは実際に自分で地道に感覚を養う以外に道はない。

でも、ブラシについては、カーフスキンのほうが良い。まず音が良い。しっかりとコシの入った音がする。これは良いので、ブラシ率が高い時は、カーフスキンはいいだろう。そしてタップ時の粒の出方が扱いやすい。さらに良いことに、カーフスキンは、ブラシとスティックの音量差が少ない。つまり、プラヘッドに比べてスティック音は小さく、ブラシ音は大きい。(とは言え、もちろんブラシのが小音量)確かに昔のビッグバンドドラマーは、小さい音の時にブラシを使うという現代のような使い方はしない。むしろ音色の違いで選んでいる側面があると思う。特に、パパ・ジョー・ジョーンズやシド・カトレットのブラシ音はとても大きく、しっかりしていると思う。

ただし管理については、やや手間がかかる。バスドラは口径がデカいので、まだ放置でも大丈夫だが、スネアは、やはり破れやすい。特にヴィックファースのダイヤモンドチップ。あれ最悪。スリンガーランドのカーフスキンが一発で台無しになった・・・。やはり、あまり小さいチップのスティックは向いていない。形状的には、バディ・リッチ モデルや、プロマークの5A、5Bのチップは最適だと思う。演奏タッチの強さについては、かなりハードショットしても大丈夫。あまりテンションが低いとヤバいけど、そこそこ張り気味なら、たいていは大丈夫だと思う。特にスリンガーランドのカーフスキンは素晴らしいクオリティで、薄いのに丈夫で音も一番良い。ラディック〜WFL系のカーフスキンは、ちょっと音が軽く、AMRAWCOは、ちょっとモッサリしてしまう。やはりスリンガーランドのラジオキングヘッドが最高だ。ラジオキングブランドは、あのヘッドのことなんじゃないかと思うくらい。(笑) 


とにかく、カーフスキンヘッドを買いまくってみたけど、これはコンディションの良いもの(できれば新品)を一枚買って、一番合うと思われるヴィンテージドラムに張りっぱなしで馴染ませてから使うのが良いと思う。今でも15,000円ほどで新品が買えるので、今度は、それを試してみようと思う。フレームはメタルと、ウッドがあるが、絶対にウッドフレームが良い。なぜなら、ウッドフレームは、時間経過と共に、ドラムの形状に馴染むからだ。実際、18”のラディックヘッドは、当初キツキツで入らなかったが、半年くらい張りっぱなしにしたところ、ちょうど良くハマるように広がった。これが生物素材の魅力であり、化学品では再現できないところ。そして再現する必要もないと思う。 カーフスキン風を謳うヘッドは、全てインチキであり、全く似ていない。意味がわからない。特にレゾナンスのスネアサイド。あれはヒドかった。あれは皮ではなく紙だ。  プラヘッドで一番カーフスキンに近い音がするのは、なんだろうなぁ。鳴りは似てるのあるけど、ゴンッ!ってアタックが出るものはないかな。 鳴りとしては意外にもピンストライプが近いんじゃないかと思う。バスドラについて。スネアで一番近いのは、なんだろうなぁ。たぶん、REMOのフラム。これは一枚5,000円くらいするマーチング用のブ厚いヘッド。ちょっとモタモタして重いけど、わりと近いし、凄まじく丈夫。

そして、カーフスキンは、ほんのちょっとした破れでも、もうダメになる。再生不可能。諦めるしかない。何かで補修したとしても、それは時間の問題で、すぐに破れが広がってしまう。やはり本皮は常に伸縮しているので、ケミカルなテープじゃダメなんだと思う。しかし、同じ本皮の薄いものをニカワで張ったらどうなんだろう? ニカワは天然素材で、皮から作るし、温度や湿度にも反応するので馴染むかも知れない。ちょっと試してみよう。

0 件のコメント: