10/09/2008

手術後の不思議な体験

今回の手術後、実は、とても奇妙な体験をしたので記録しておこう。

手術後、麻酔も完全に抜けた2日後の夜だった。
普通なら、僕はとても寝付きが良いほうだが、生活サイクルが違いすぎる等の事情も重なり、この日は珍しく眠れず、布団の中でゴロゴロとしていた。ようやく午前4時頃にまどろみ始めていたころのことだ。

夢を見た。いや、正確には“見ていた”と後に認識したことだが。

その舞台は、僕が高校生くらいまで過ごしていて、今は取り壊してしまった元実家の2階だ。
僕の部屋があり、隣は弟が使っていた部屋であることは間違いない。
弟の部屋の扉は開いていて、僕は、その部屋の入り口で部屋の中を眺めている。
その部屋は、床が45°ほども傾き、足下は4次元空間のようになっていて、部屋の真ん中には大きな箪笥が置いてあり、その向こう側に誰かが二人いる。どうやら弟と、その友人のようだ。僕は、その4次元空間に落ちないように必死に部屋のヘリにしがみついている。すると、箪笥の向こうから弟の声が聴こえる。どうやら、僕に気づいたようで、こちらに来ようとしている。しかし、僕は意識の中で、弟に見つかったら、あっちの世界に引きずり込まれてしまうと思い込んでいて、とにかく逃げなくてはいけないと必死にもがいている。

ここまでは普通に夢としてはあり得る設定だし、普通と言える。
ただ、一つの大きな違いを除いては・・・。

その大きな違いというのは、とても明確に重力や、身体感覚、そして自分の目で見ている近さやリアルさがあったことだ。
そして、自分の状況などをわりと冷静に判断できる客観性があったことだ。
そして、自分で「これは夢ではないかも知れない」という、これは夢の中じゃないか?という意識があったことだ。
こんな体験は初めてのことで、この自分の意識の明確さに混乱し、パニックに陥りそうになった。
とにかく、そんな意識の中、あちらの異次元空間のようなところに行ってしまったら、二度と戻れないと、非常に明確に意識していたので、その恐怖感は、凄まじいものがあった。

結局のところ、弟に見つかる前(つまり、異次元に放り出されてしまう寸前)で、僕の意識は、完全に覚醒し、戻った。
その時に、まずホッとしたのと同時に、体を動かさず、その時の状態を冷静に確認しておいた。

まず思ったのは「そうか・・・病室だったんだな」と気づいたこと。これが第一。ここで冷静になれた。(しかし自分が入院中であるということは忘れていたわけだ。)
それと、右目が3分の一ほど開いていて、右手は、ベッドサイドのバーを握りしめ、両足はベッドのサイドバーに踏ん張っていた。
これは、たぶん落ちないようにしている体制だろう。

ここで思ったことは、部屋の端枠と思えていた部分は、ベッドのサイドバーだったという事実。
しかし、この部分は、薄く開いた右目には部屋の入り口枠となって見えていたということ。
そう。夢の中に、現実の映像が、実際の目を通して見えていたということだろう。
脳が作り出した、夢の中のイメージに、実際の映像が混ざっていたのだ。まず、これが混乱の原因ではないだろうか?
全てが夢による架空のイメージではなく、実際の映像が混ざることによって、重量感や距離感のリアリティが格段に上がったのではないだろうか?
そして、その視覚情報を元に、身体感覚などにも強烈なリアリティが発生したのはではないだろうか?

つまり、脳は完全に眠りにつき始めているにも関わらず、身体の睡眠体制とにズレが生じていたことによる、奇妙な体験となったのではないか? というのが自分の推測だ。

脳が見せる、あり得ない映像と、身体が察知するリアルな触感や、距離感、現実感が混ざり合い、超現実的な映像と体感を作り出してしまったというわけだ。これは本当にパニックに陥る。

僕は、普段、夢の中で「これは夢だ。」と認識できた体験がない。
(今日、そんなのしょっちゅうだ。という人に会って驚いたが。w)

でも、今回の体験は、夢の中の感覚と全く違う体験だった。
とても不思議で、そしてとても恐ろしい体験だったので、忘れないうちに記録しておこうと思う。

今日会った人から、全身麻酔をした後に、奇妙な体験をする人がいるという話を聞いたが、自分の体験も、そういうものによるのだろうか? それはわからないが、色々な偶然が重なり合って、生じた現象であることは確かだと思う。元々、霊感や、そういったたぐいの体験はほとんどなく、夢もほとんど見ないので、とても驚いた体験だった。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

実は僕も盲腸の術後、病室で回復を待つ間にそんな夢を見た。恐ろしくリアリスティックで、視覚情報のリアルさ、情景描写の克明さはある意味、現実以上だった。わたしは1mぐらいの高さを低空飛行しながらやがて教会の上を通るが賛美歌などが聴こえてくる・・なんかその歌が恐ろしく嘘臭かったのも覚えている。後で会った時に続きを話すけどマイクが出てきてピンク色にアルマイト塗装されているだけど・・そのアルマイトの具合が顕微鏡的に克明に肌触りまで認識できた。やはり麻酔の注射の効き目は凄い。僕の場合一週間ぐらいはなんらかの妙な知覚が残った。toya

d3/office D3 さんのコメント...

うお! マジすか!

そうそう。そうだ。もっと適切な表現があった。

なんというか、夢の中のようなあり得ない設定の“設定部分”に気付いていることが不自然なんですよね。普通、夢というのは、大前提である部分がおかしいにも関わらず、そこには気付かないことが多いんです。例えば、鹿のような角が生えているオッサンがいて、そのオッサンが「若いんだから、もっと角を伸ばせ!」と言ってきたとしたら、夢の中では「このオッサン誰だよ、うっせ~な~」とは思っても「え? なんで角なの?」とか、そういう普段持っているような“常識”による判断部分は欠落していることが多いのですが、今回のケースは、そうではなくて、常識判断力があるんです。「え?何、この異次元空間って・・・おかしすぎる・・・」と気付いているんです。それが夢かどうか?という疑問に至る以前に。
でも、目の前にある、超現実的な視覚、触覚、聴覚等々がリアルすぎて、それを否定できないから、常識で考えて、あり得ない状況にある自分にパニックを起こしてしまう感じでした。
そう。常識の感覚があったのが、夢との大きな違いでした。

今度、TOYAさんの体験と感覚も是非聞かせてください。
僕も本当に奇妙な体験だったので、忘れないうちに思いついた表現を書き留めておこうと思います。ちなみに、僕は、今のところ、その一回のみですし、それが全身麻酔によるものなのか、どうかは不明です。

匿名 さんのコメント...

HI!私の場合は術後おそらく3時間ぐらいたった時であろう、妙な光が上から照っていて、それはなぜだか泣きたくなるぐらいあたたかな光でした。今までに体験した事のないあたたかな光。そう、太陽より安心できる光でした。その向こうに誰かがいたのを感じました。初めての手術でしたので私は前日不安で一杯でした。しかし、あの時の光と、その向こうで聞こえていた「Roseroom」は、今までに感じた事のない世界でした。ゆっくり目覚めた私は今までに無いくらいに涙を流していました。その涙は安心の涙というか、不安で流す涙や、悲しみで流す涙とは違う。何と表現したらよいか、、、「安心」なんです。

一瞬天国かな?なんて思ったんです。

そのあと1時間ぐらいしてから...
「おれ手術成功して生きているんだ」と実感したんです。
これは本当の話です。

ガラに合わない話ですみません。

匿名 さんのコメント...

Pochiです〜。面白い体験しましたね〜。
LSD過投入時みたいです(笑)。

話すと長くなるので、事実関係だけ。
11歳の時、車にはねられて5mくらい飛ばされ、気を失いました。一ヶ月入院の怪我でした。
10分くらいの出来事だったのですが、救急車が来て運ばれるまで意識が彷徨ってましたね〜。全然身体は痛くないのにまったく動けない。周りの人だかりとか話し声は聞こえていて見えているのに...。おそらく体内モルヒネが一斉放出され、痛みを和らげていてくれたんでしょう。
病院に着いてからの治療が地獄の痛みでした〜。

匿名 さんのコメント...

ちなみに夢だと夢の中で気付く事は結構、あります。もっと面倒くさいのはまだ意識があった筈なのにいつのまにか夢の中に吸い込まれてしまう時です。こうした時は手足などは動かないので嫌なものです。リアルに目の前に見えている部屋とかはしっかりと見えているのに全然、別の部屋だったりする訳で・・こういうところもショックです。夢に騙されないぞ、という気分が高まるとそう簡単に夢に騙されなくなります。ちなみに夢は脳が人間に強制的に見せている幻覚ですので、それに対抗する事ができます。できますが、夜な夜なそんな事ばかりやっていると頭おかしくなっちゃいますので・・適当に相手をしています(笑)。

d3/office D3 さんのコメント...

>SPIDER
ガラに合ってるよ。心配性だもんな。w
でも、その体験はうらやましいなぁ。オレのはマジで恐かったから、その神々しいまでの光ってのはうらやましい。
でも天国じゃヤバいな。w
オレの場合、手術直後は、何が起きたのか状況がつかめないまま管人間になっていたから、そんな余裕はなかったよ。


>Pochi
LSD過投入はわからないけどw 
でも、そういうのって、自分の意思で投入するから、まだ心の準備もできそうだし、いざパニックになったとしても前提として“自分の意思によるもの”があるからいいと思うんですよ。しかも、寝ている状態ではなくて完全に起きている状態であることはわかっているわけだからマシな気がしますが、現実か夢なのかすら確認できないのに、やたらとリアルってのは驚くというか、何が起きているのかわからなくなりますよ。w
子どもの頃に大きな事故をしたりすると、やはり何か影響が起きたりするんでしょうかね〜? よく聞きますよね。そういう話は。僕は全く平凡安全に育ったので、そういう経験はないなぁ。


>トクメーさん
夢の中で、夢であることに気づく事ができるってのは凄いなぁと思いますよ。
「ウェイキングライフ」っていう映画が、まさにそのようなテーマで映像的にも素晴らしくアーティスティックな映画があるんですが、その映画の言わんとしていることが少しだけ理解できたような気がしてます。