1/27/2009

デザイン制作環境(昔)

この10〜15年ほどで、デザイン制作の環境は激変したな〜と、ふと思った。
その当時は、まだまだ版下が主流だったことを考えると、たったの15年でデザイン制作の環境は激変したんだなぁと改めて痛感した。

そもそもデザイン制作というのは、かなりの職人的な仕事の集大成で、とにかく手を動かし、歩きまわり、電話しまくるという結構アクティブなもので、ヲタクな感じとか、一人で黙々という感じの仕事ではなかった。むしろ、そういうタイプの人には全く向かない仕事だったかも知れない。とにかく、文字を組むにしても、写植屋に指定しなくては文字すら手に入らない。いや、その前に、文字についてはコピーライターさんの領域で、打ち合わせはするもののデザイナーがとやかく言う領域のものではなかった。写真はもちろんカメラマンの領域だし、そもそも色校正が出てくるまでカラーで確認などできず、ほぼ想像の世界だけで制作しなくてはならなかったし、それが当たり前だったので、クライアントも、モノクロや、せいぜいマーカーで着色したラフで確認するだけだった。そんな面倒くさいことをしていたかと思うと気が遠くなる。(笑)

だから、一つの仕事を上げるまでに多くの人の手を借りないと何もできなかった。今は、パソコンとプリンターでできてしまう。ほとんど一人で完結できてしまう。もちろん、だからと言って、その人数分のギャラがもらえるかと言うと、そんなことはない。
でも、だからこそアートディレクター全盛の時代とも言えるのかも知れない。まさにパソコン時代。コピーは、パソコン時代になってから、文字の変形などの自由度が飛躍的に上がり、キャッチコピーは糸井重里が圧倒的だった時代の言葉としての強度よりも、もっとグラフィカルな訴求をするような表現が増えた。写真も、カメラのAFでも、そこそこなものが撮れてしまう。これでレイアウトができればデザインはできてしまう。しかし、それはアートディレクターなんだろうか? ただの器用な人って気もするし、いやいや、そもそも意匠(デザイン)なんてものは、手先が器用なヤツが最後までやってこそだ。とも思える。その答えは、まだ出ていない。

いや、しかし、版下は懐かしい。
版下の上にトレペをかけて、そこに色指定などを書き込む。そのトレペを折り返した部分のトレペに切り込みを入れ、上からセロテープを貼って、裏側で止めるわけだが、ここの切り込みは、結構個人差があって面白かった。普通に三角に切るだけの人や、丸の人、ビルの形にする人等々、デザイナーの個性を地味に発揮する場所だったんじゃないだろうか。こういう遊びの部分は手作業のほうが面白いと思うし、なんとなく気配りだとか、版下屋さんへの挨拶的な感じがして、ここの部分が好きだった。とてもマニアックだが、版下制作の経験がある人なら、ある程度は共感できるはずだ。w

そう。版下時代のデザインは、自分で作ると言うよりも、それぞれの職人さんに「ここはこうしてください」と渡す指示書のような感じだった。逆に怒られたりして・・・「こんな抜き合わせ合わねーぞ!」なんて、製版職人のオッサンに怒られたり・・・。でも、がんばってやってくれるんだけど、とりあえず文句を言う。それは、たぶん、色校で失敗した時の伏線だったんだろう。ほら見ろ!って。そういう駆け引きは日常的にあったように思う。ま、責任のなすり合い。トイレにエロ本山積みの印刷所で。印刷って結構、男の現場だったなー。今思うと。w


<1月30日は、コチラでおもろいことやっとります!>
http://office-d3.blogspot.com/2009/01/srdvol1.html



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5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

8年前までは版下製作のお手伝いを職場でやってましたが、今はもう版下なんてないの?

社内のデザイナー役さんの補佐で、いわゆる器用だから(笑)レイアウトやら文字構成とかやってたのが懐かしい。

思えばワタシは、すべてを器用さだけでやって来たのかもしれない(笑)。

d3/office D3 さんのコメント...

>POCHIさん
ホント、色々なことやってますね〜。(笑)
8年前で版下ってのは、たぶん相当アナログなトコですよ。(笑)

でも、今の人は可哀想だなと思うのは、イラストレーターとかインデザイン(クォーク)って、版下制作を基礎として設計されているので、版下制作の手順を知らなくて、さらに機能満載になったCSなんて、意味がわからなすぎて使えないと思うんですよね。僕が最初に使ったのはイラストレーター3.2とかだったので、「カラーモードは見るだけ」とか、思いっきり版下ライクで、結構わかりやすかった記憶があります。今だに、イラストレーターはVer_5.5とかでできていた機能で全く困りません。

匿名 さんのコメント...

ああ、それって現在のDTMソフトも同じですよね。
アナログ時代のレコーディング手順が基本になってますから、マルチトラックレコーダーとか巨大なミキサーを扱っていた人には便利な道具なんだけど、その時代を知らない若者にとっては「概念」が分からないんですよね。
ミュージシャンよりもDJが増えて、ピアノとかドラムが機械的にどうなって発音するのか知らないで音楽作ってるのとも似てる。
まあそれが「とんでもない発想」で面白ければ良いんでしょうけど(笑。

昔のF1職場はアナログ感覚が大切にされてましたね〜。
サロンのホスト(喫茶店オーナー)、編集者、企画者、ライター、取材、撮影、執筆と、何でもやってましたよ。
すべてが素人だけど、すべてが玄人ハダシでもあるという。

ミュージシャンとしてもワタシも同じかも(爆。

匿名 さんのコメント...

さっき、職場のどっかから
「いまどきページメーカーなんて使わねーか」
なんて会話が聞こえてきました。

私のphotoshopの知識も5ぐらいで止まってしまってます…

d3/office D3 さんのコメント...

>POCHIさん
ですね~。開発してる人がアナログ時代の人だから仕方ないですけどね。(笑)


>のりを君
ページメーカー(笑)
懐かしいな。
もはや、誰も使わないね。それ。