12/12/2008

佐藤さんに、ありがとう。

http://www.1101.com/store/techo/2009/renewal/index.html


ほぼ日手帳の制作についてのロングインタビュー。
今回は佐藤卓さんがデザインをリニューアルしたということで、非常に期待していたんだけど、カバーは気に入ったけど、中身のデザインが僕にはイマイチだったから違うのにした。そもそも一日1ページが広すぎるのと一週間の一覧性に乏しいので、その時点でNGだったんだけど、卓さんのデザインの仕方がわかって、すごく良いインタビューが読めた。中でも、一番最後の一文には、とてもホッとさせられた。

---引用----
デザインというのは不安じゃなきゃいけないと、
僕は思ってるんです。
これが正しいという満足は、デザインの場合はあり得ない。
逆に、満足してしまうことのほうが、
ものすごく問題だと僕は思ってます。
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え! そうなの? 
でも、そうですよね? やっぱ、そうでしょ? 

佐藤卓さんほどのデザイナーが、自分のデザインに毎回不安を感じているってことに、すごく驚いた。もう自信満々だと思っていた。
何度も日記に書いているが、僕も毎回不満というか、不安だ。自分の制作したものについて、毎回「う〜〜ん・・・これでいいのかなぁ・・・」と思ってしまう。確固たる自信など到底持てない。それはデザインについての考えた、つまり価値観というのは、非常に多様性があるからだ。例えば、優れたグラフィックス表現というものは、ある程度の定義があると思うし、それは誰が見ても美しいという基準は時代を超えて存在する。でも、そこに“相手”という存在が明確に登場してくると事情は異なってくる。その時、とても大事なことは、やはり“価値観の把握”だと思う。それを使う相手。それは、例えばスーパーのチラシでも、携帯電話のポスターでも同じだけど、それを伝えるべき対象とか、それを使う例えば営業マンなりの価値観は、どんな感じなんだろう? ということを考えることが重要だと思うわけで、それは自信持てないよ。相手の価値観なんて、わからないから。でも、わかろうとする姿勢が大事だし、そこがわからないままデザインをするって、ものすごく独りよがりというか、一体誰のために何のために作っているのか?という疑問に必ずぶつかる。そりゃあ「以前より、お洒落になった」とかも大事な場面もあるし、そういう価値観もある。でも、そうじゃない価値観もある。例えば、スーパーの特売チラシがスタイリッシュである必要などないし、意味もない。むしろ大失敗だ。つまり意味なく格好だけ良くたって、それは機能しないってことだ。逆に格好が良いという事がとても重要な機能になるジャンルもある。

こういうことは、全て、多様な価値観を知る事でしか乗り越えることができないし、それがデザイナーという仕事の本質だと思っている。多くの人は、格好良い形や、見た目を作るのが、デザイナーという仕事だと思っているかも知れないが、実は、そうではない。いかに、対象にフィットするものを作れるかってことなんだ。

佐藤卓さんの「デザインをどこまで消すことができるか」
これいいなぁ。これは、もう達人の域。実に深い。

にしても、手帳で、あんなに語れる佐藤卓さんは素晴らしいと思う。

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