9/11/2008

Charleston nano+Calf Skin

ようやく、Charleston nanoの両面がCalf Skin Drum Headとなった。

最高級両面本皮仕上げ。

高島屋で買ったら高そうだ。

Shop Chなら「お客様、こっの見てください!最高級の本皮をふんだんに使った仕上げ!」
と上げておいて、価格でドン! 落としてドン! ハイお買い上げ! だろう。

 
やはり両面本皮は良い。高級だから良い。
金がかかっていること自体がヒップ。
高級=COOLなブラザー感覚満点。

高級だから、音も良いに決まっている。
かかっている金のぶんだけ音が良いんだ。高いほど音が良い。
色だって、木目ナチュラルは金のようだ。そしてボディは、漆黒だ。まるで小さな仏壇だ。

仏壇=高級品(漆や金のパーツや装飾が高級)

こんなところからも高級感が漂う、Charleston nano


それにしても、この高級ドラム皮の装着は大変だった。

いや、まず、このバスドラを完成させるのが本当に大変だった。
まず、届いた段階の仕様では、片側から両側が締まってしまう仕組みのラグで、ラグのパーツも全てバラバラだった。
まず、これを両側独立テンションにするための設計とデザインから始まった。
パーツのおおまかなデザインを起こし、そこから図面にする。
その図面を元に金属加工職人と打ち合わせ。
デザインやサイズを修正し、サンプルを制作〜バランス見直し〜サンプル制作・・・こうして、オリジナルのパーツを生かして、ちょっと面白いデザインにしてみた。
そのパーツが、今日上がってきた。その完成度はさすが世界トップレベルの日本の職人芸。

いやいや、話は脱線するが、日本の工業系職人の技術レベルは実に素晴らしいものがある。
日本とドイツ。この2国の職人仕事のレベルは他の先進国に比較しても圧倒的に高い。
ここに続くのは、イタリアやフランスだろうか。しかし、その差は大きい。
意外に日本に在住している外国人デザイナーは多い。
これは、この職人技があるからだと言う話を聞いたことがあるが、まさに納得だ。
先週は仕事で紙加工の職人に仕事を依頼したが、これも技術と製造に関するノウハウやアイデアが凄い。僕のような仕事は、こういう職人との連携がなければ成り立たないので、職人と上手に付き合えないと、最終的には良いものが作れない。自分の技術だけ磨いていてもクオリティを上げられないというところが難しい。気配りや距離の取り方なんかもクオリティに関わってくる要素ってことなんだな。

さて、職人から上がって来た金属パーツは素の鉄なので、すぐに錆びてしまう。
それを防止するために、ブルーイングという処理を施す。
これは、金属を酸化させることにより、錆びを防ぐ方法。つまり、先に錆びさせる。w
これは19世紀より以前からある銃の加工作業の一つで、貧乏臭いメッキなどしなくても良い。
このブルーイングされた金属の質感が大好きだ。とても滑らかで美しいし、次第に馴染んでくる経年変化も楽しい。手触りも柔らかく、メッキのようなギラギラした安っぽさとは無縁だ。

まぁ、銃マニアがこだわるようなブルーイングではないが、楽器らしい仕上がりになった。
これを装着し、高級本皮をセットし、テンションロッドを取り付ける。

しかし、問題発生!

2センチほどロッドが長い・・・う〜〜〜ん。これはなんだか許せない。
すぐに、金属加工職人に電話すると、切ってくれると言うのでビールの差し入れを持って、再度、工場にお邪魔する。本日2回目。w

16本のロッドを少しだけ短くカットしてもらった。
さすが、プロの仕事。仕上げが美しく、スムーズにネジが入ってゆく。
この感触にも職人の技術が現れる。
最近のネジは最悪なクオリティであることを世の中の人に認識してもらいたいものだ。
最高の技術で仕上げられたネジは決して緩まないし、感触がとても良い。

さて最高級本皮装着再会。

このヘッド、微妙に小さい・・・。もう、パンパン。w それを無理矢理押し込む。
このヘッドを次に外す時は、手では外せない。ヴィンテージグレッチとかと同じ。
でも、カーフスキンヘッドは、このキツキツでないとダメだ。
このキツキツが音の振動で次第に馴染んで、ドラム本体とヘッドが一体になる。
そうなった時に、ようやく完成された音が出る。ヘッドは破れない限り張り替えない。
現代のプラスチックヘッドは、どうしてもヘタる。
コーティングがはげてしまったりするが、カーフスキンヘッドは、そんなことは全くない。
70年前のヘッドが、今でも普通に使える。プラスチックヘッドだと、せいぜい2年。(笑)

各パーツは、精密に計算し、ギリギリのカツカツになるように設計してあるので、装着がマジで大変すぎた。w
そもそも、フープもドラムシェルも歪んでいるので、一番調子の良いところを探してヘッドを取り付ける必要があった。別に歪んでいても関係ない。真円かどうかなど関係ないのだ。真円率が高いことで得られるメリットはサスティンが伸びる事だ。それは、さほどいらない。伸びるサスティンよりも、複雑な倍音を含むサスティンのほうが大衆音楽には向いている音がする。だからシェルは歪んでいても良い。それよりも、ドラム全体のパーツが振動で一体化するような設計のほうが大切だし、パーツを組み上げる時に、しっくり来るところを探しながら組み上げる必要がある。こうして作ったバスドラムは、全ての箇所に余裕をもたせて作ってある現代のバスドラムでは絶対に出ない無駄な音が出る。その無駄な音が自分の好きな音だ。

いや〜疲れた。

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