今回の手術後、実は、とても奇妙な体験をしたので記録しておこう。
手術後、麻酔も完全に抜けた2日後の夜だった。
普通なら、僕はとても寝付きが良いほうだが、生活サイクルが違いすぎる等の事情も重なり、この日は珍しく眠れず、布団の中でゴロゴロとしていた。ようやく午前4時頃にまどろみ始めていたころのことだ。
夢を見た。いや、正確には“見ていた”と後に認識したことだが。
その舞台は、僕が高校生くらいまで過ごしていて、今は取り壊してしまった元実家の2階だ。
僕の部屋があり、隣は弟が使っていた部屋であることは間違いない。
弟の部屋の扉は開いていて、僕は、その部屋の入り口で部屋の中を眺めている。
その部屋は、床が45°ほども傾き、足下は4次元空間のようになっていて、部屋の真ん中には大きな箪笥が置いてあり、その向こう側に誰かが二人いる。どうやら弟と、その友人のようだ。僕は、その4次元空間に落ちないように必死に部屋のヘリにしがみついている。すると、箪笥の向こうから弟の声が聴こえる。どうやら、僕に気づいたようで、こちらに来ようとしている。しかし、僕は意識の中で、弟に見つかったら、あっちの世界に引きずり込まれてしまうと思い込んでいて、とにかく逃げなくてはいけないと必死にもがいている。
ここまでは普通に夢としてはあり得る設定だし、普通と言える。
ただ、一つの大きな違いを除いては・・・。
その大きな違いというのは、とても明確に重力や、身体感覚、そして自分の目で見ている近さやリアルさがあったことだ。
そして、自分の状況などをわりと冷静に判断できる客観性があったことだ。
そして、自分で「これは夢ではないかも知れない」という、これは夢の中じゃないか?という意識があったことだ。
こんな体験は初めてのことで、この自分の意識の明確さに混乱し、パニックに陥りそうになった。
とにかく、そんな意識の中、あちらの異次元空間のようなところに行ってしまったら、二度と戻れないと、非常に明確に意識していたので、その恐怖感は、凄まじいものがあった。
結局のところ、弟に見つかる前(つまり、異次元に放り出されてしまう寸前)で、僕の意識は、完全に覚醒し、戻った。
その時に、まずホッとしたのと同時に、体を動かさず、その時の状態を冷静に確認しておいた。
まず思ったのは「そうか・・・病室だったんだな」と気づいたこと。これが第一。ここで冷静になれた。(しかし自分が入院中であるということは忘れていたわけだ。)
それと、右目が3分の一ほど開いていて、右手は、ベッドサイドのバーを握りしめ、両足はベッドのサイドバーに踏ん張っていた。
これは、たぶん落ちないようにしている体制だろう。
ここで思ったことは、部屋の端枠と思えていた部分は、ベッドのサイドバーだったという事実。
しかし、この部分は、薄く開いた右目には部屋の入り口枠となって見えていたということ。
そう。夢の中に、現実の映像が、実際の目を通して見えていたということだろう。
脳が作り出した、夢の中のイメージに、実際の映像が混ざっていたのだ。まず、これが混乱の原因ではないだろうか?
全てが夢による架空のイメージではなく、実際の映像が混ざることによって、重量感や距離感のリアリティが格段に上がったのではないだろうか?
そして、その視覚情報を元に、身体感覚などにも強烈なリアリティが発生したのはではないだろうか?
つまり、脳は完全に眠りにつき始めているにも関わらず、身体の睡眠体制とにズレが生じていたことによる、奇妙な体験となったのではないか? というのが自分の推測だ。
脳が見せる、あり得ない映像と、身体が察知するリアルな触感や、距離感、現実感が混ざり合い、超現実的な映像と体感を作り出してしまったというわけだ。これは本当にパニックに陥る。
僕は、普段、夢の中で「これは夢だ。」と認識できた体験がない。
(今日、そんなのしょっちゅうだ。という人に会って驚いたが。w)
でも、今回の体験は、夢の中の感覚と全く違う体験だった。
とても不思議で、そしてとても恐ろしい体験だったので、忘れないうちに記録しておこうと思う。
今日会った人から、全身麻酔をした後に、奇妙な体験をする人がいるという話を聞いたが、自分の体験も、そういうものによるのだろうか? それはわからないが、色々な偶然が重なり合って、生じた現象であることは確かだと思う。元々、霊感や、そういったたぐいの体験はほとんどなく、夢もほとんど見ないので、とても驚いた体験だった。